水彩、「風に吹かれて」
モデルの女性には申し訳ないけれど、画像は彼女そっくりではない。目鼻立ちは世間的な基準で美人と言える。だが加齢や生活歴の灰汁を取り去り、若くつくろい、人形的美人に描いたら、中年の彼女に失礼ではなかろうか。
他の誰とも違う彼女らしさは、生まれついた顔立ちだけではないから。
私は、さかりをやや過ぎたと言える世代の彼女の容姿に表現されている「時間」を描こうとした。彼女が生きた人生の時間を。それもまた人間の魅力だと思う。
しだいに若さから隔たってゆく女性の、ことに真正面からの構図は難しい。
顔の凹凸や陰翳、まなざし、肉付きなど、すべて当人の内面のニュアンスと生き方を語る。
どこまでモデルの人間性に近寄れたかしら。
あちこち荒く、稚拙なテクニックだが、今の私なりにこれでよし、と。
モデルの彼女に感謝。