市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

少女たち細き首あげ雪をすくひ肌にこぼれて帆のごと光る

2011-02-15 21:00:14 | Weblog

 十歳くらいの女の子三人、溶け残った雪をかきあつめて、雪合戦をしていた。


 この年頃の少女を見ると、どうしても源氏物語の若紫を思い合わせてしまう。



 ……髪は扇をひろげたるやうにゆらゆらとして……



 ふっさりした黒髪のさがり端(ば)のすそまでみずみずしかったのだろう。扇をひろげたるやうに、というくきやかな描写が新鮮だ。

 

 見かけた女の子たちの背丈はまちまちだったが、どの子も午後からの陽射しに上昇した気温に、ずいぶんと薄着で、もうセーターは着ていず、ジャケットのしたはコットンのカットソーだったり、それどころか腕や首がむきだしの子もいた。

 素のままの頬やうなじの皮膚が、春の光にうつくしかった。それこそ開花の前の莟や、枝先にやわらかくたたみこまれた新芽のようにつやつやと水をふくんで。


 彼女たちの頬は、雪遊びのつめたさのせいか、はしゃぎながらもみな白かった。それだけが、今の季節の寒さを白磁のように感じさせた。

 
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