こういう曇り日、風低い、しんと冷たい流れのなかで、
自分だけに差し向かいに過ごしていると、いやおうなしに詩にひっぱられる。
そう表現するしかない感覚。からだのなかから流れ出してしまうような、
自分が違う世界にひきこまれてしまいそうな感覚。
いろいろなヴィジョンがうまれる。つかまえようとする。
これは、源氏物語の蜻蛉の巻からか。
明日、また着物をまとう。あらたまった席なので、袋帯。源氏物語を意匠にした全通の金襴をながめていたら、その華麗さよりも、宇治十帖のしめやかなくだりが思い出された。
おてんきのせいか。
長着は、加賀友禅にしよう。
あかるい浅緑地に寒牡丹の裾模様。
さっき、仕付け糸を切った。
あたらしい絹は、重い。
似合うといいな……。
素敵な着物。仕付け糸を切ったばかりの着物に、袖を通すときのワクワクドキドキ感が伝わってきます。
う~~~~ん、雪香様には翡翠の帯止めなんか似合いそう。
翡翠の帯止め、すてきですね。
それは、わたしの大好きないろです。
ろうかん……琅玕という翡翠のかんざし、曾祖母からゆずりうけてだいじにしています。
むかしむかしの翡翠細工。透度のたかい緑色に、こころひかれます。
今日の友禅の着心地は、よかったですね。
おてんきにも、周囲の方々のこころづかいにもめぐまれました。