ギリシャ神話あれこれ:天翔けるベレロポン(続)

 
 ちなみに、この父王グラウコスは、飼っていた牝馬を頑丈な駿馬にするために、人肉を餌に与えていたという馬狂い。グラウコスは、イオルコスの王ペリアス(英雄イアソンの愛人メデイアの奸計で暗殺された)の葬礼競技に参列した際、餌である人肉を与えることができなかったために、空腹の牝馬によって、御しているところを八つ裂きにされて貪り喰われてしまった。
 そんなグラウコスは、死後、馬たちを脅す悪霊タラクシッポスになったという。

 ……ベレロポンの馬との因縁は、父王から受け継いだ血なのかも知れない。

 さて、ベレロポンはもともとヒッポノオスという名だった。容姿端麗で、武芸の腕も抜群。なのに、あるとき競技の際に、兄ベレロスを誤って殺してしまう。
 以来、彼はベレロポン(ベレロスを殺した者)と呼ばれるようになる。

 ベレロポンはコリントスを逃れて、アルゴスの王プロイトスのもとで罪を清めてもらう。
 このとき、王妃アンテイア(あるいはステネボイア)が、惚れ惚れする男振りのベレロポンに恋をしてしまう。あれやこれやと誘惑する王妃を、だが、誇り高いベレロポンは手厳しく拒絶する。
 こうなっては憎さ百倍、アンテイアは夫プロイトスに、ベレロポンに陵辱された、あんな男を厚遇するからよ! と虚偽を訴える。

 To be continued...

 画像は、W.クレイン「キマイラと戦うベレロポン」。
  ウォルター・クレイン(Walter Crane, 1845-1915, British)

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