ギリシャ神話あれこれ:盲目の予言者テイレシアス(続々)

 
 さすが神に与えられた長寿は長い。カドモスの建国後から、アルゴス七将のテバイ遠征、七将の子らによる復讐戦の時代まで、人間離れした長きにわたって、テイレシアスはテバイの予言者として君臨する。 

 テイレシアスには、女だった時代、ヘラ神の女司祭を務めながら、自ら生んだ(?)マントという娘がいる。予言の力というのは遺伝するようで、マントもまた、父よりも優れた予言者となり、マントの息子モプソスも、ギリシア軍の予言者カルカスを負かすほどの予言者となった。

 エピゴノイの戦い(テバイ遠征の七将が敗れた十年後、彼らの子らが復讐戦に再びテバイを攻撃し勝利した)の後、マントは最高の戦利品として、アポロン神に献上するためデルフォイへと連れられる。娘に随行したテイレシアスは、その途中、ティルプサの泉の水を飲んだのが理由で、死んだという。

 別伝では、テイレシアスが盲目になったのは、沐浴中のアテナ神の裸体を見てしまったためともいう。彼の母親であるニンフのカリクロが、彼の眼を元に戻してくれるようアテナに頼んだが叶わず、代わりに耳を清められて、鳥の言葉を理解する能力を得たのだとか。

 画像は、H.シングルトン「マントとテイレシアス」。
  ヘンリー・シングルトン(Henry Singleton, 1766-1839, British)

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