ギリシャ神話あれこれ:天翔けるベレロポン(続々)

 
 愛憎が絡むとどうも人間は公平な判断をしない。激昂するプロイトス王。だが相手は客人であり、腕に憶えある勇者でもあるベレロポン。王は思案し、怪しい文字で書いた手紙を、舅であるリュキアの王イオバテスに手渡すよう、ベレロポンにことづける。
 ベレロポンは、王妃から逃れられることにむしろ安堵しながら、何の疑念も抱かずにリュキアへと赴く。が、王の手紙に書かれていたのは、何とかしてこの使いの男を殺してしまうように、という暗殺依頼……

 手紙を受け取ったイオバテス王は思案し、この暗殺を、自らの手も名誉も汚すことなく遂行する妙案を思いつく。王は言う。この頃、火山から人里に下りてきては人畜を荒らしていた怪物、キマイラを、退治してはくれまいか。
 キマイラ(キメラ)というのは、山羊の胴と角、大蛇(あるいは竜)の尾を持つ牝獅子で、口からは火炎を吐くという怪獣。怪物たちの出生の例にたがわず、テュポンとエキドナの子とされる。

 これは弱ったベレロポン。予言者ポリュイドスに助言を求めたところ、英雄の守護神アテナの加護を得よ、という返事。
 で、ベレロポンはアテナ神に祈る。やがて眠り込んでしまった彼の夢にアテナ神が現われ、天馬ペガソスを手に入れよ、と告げる。眼を覚ました彼のそばには、黄金の手綱と轡があった。
 よし! 早速ベレロポンは、ペガソスを探す旅に出る。

 To be continued...

 画像は、画像は、モロー「キマイラ」。
  ギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau, 1826-1898, French)

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