ギリシャ神話あれこれ:盲目の予言者テイレシアス(続)

 
 さて、テイレシアスが盲目の予言者となったいきさつは……

 あるときテイレシアスは、山で交尾していた一対の蛇に出くわし、どういう理由からか、その蛇を杖で打った。するとたまげたことに、彼は女になってしまった。
 それから9年後、再び交尾中の蛇を見つけ、もしやと思って打ったところ、男に戻った。

 さて、男から女へ、そしてまた男へとアウフヘーベンした彼は、あるときゼウスとヘラの夫婦喧嘩に呼び出される。両神は、性の快楽は男女いずれが大なるや、と言い争っていたのだった。
 そりゃあ男のほうが快楽が大きいわよ、女よりも愉しんでるに決まっているわ、でなきゃ男があんなに浮気ばかりするはずないじゃないの、というのが、ヘラの言い分。いや、女のほうこそ悦んでいるのさ、というのがゼウスの言い分。
 で、両性ともの快楽を経験比較して知っているに違いないテイレシアスが、意見を求められたわけ。

 テイレシアスは答える。女の性の快楽は、男のそれより10倍大きい、つまりゼウスが正しい、と。
 ムキーッ! 怒ったヘラは腹癒せに、テイレシアスを盲目にしてしまう。代わりに、ゼウスは彼に予言の能力と長寿とを与えて、償ったという。

 To be continued...

 画像は、カルピオーニ「テイレシアスの前にナルキッソスを連れてくるリリオペ」。
  ジュリオ・カルピオーニ(Giulio Carpioni, 1613-1678, Italian)

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