バイエルンの都(続々々々)

 
 ノイエ・ピナコテークへ向けててくてく歩く。今日は好い天気。一日館内で過ごすのが憚られる。
 先日は相棒、疲労に任せて、ミュンヘンはドイツの大阪だ、なんて罵倒していたけれど、ここは街路樹は豊かだし、歩道は広いし、建物は低いし無機的でないしで、御堂筋なんかとは比較にならない、と私は思う。

 さて、ノイエ・ピナコテーク(新絵画館)は、私の、死ぬまでに訪れたい世界十大美術館の一つ(って、数えたわけじゃないけど)。ミュンヘンのピナコテークは他にアルテ・ピナコテーク(旧絵画館)とモダン・ピナコテーク(現代絵画館)があって、いずれも譲れないのだが、どれか一つを選ぶとすれば、私の感性は、18世紀から20世紀にかけての西洋絵画をくまなく所蔵しているこのノイエを、一番に持ってくる。

 荷物をロッカーに預けて、観る気満々で展示室に入ると、いきなりホドラー。向かいには眼に刺さるほどまばゆいセガンティーニ。く~、ヨダレ出そう。
 ホドラー「生に疲れし人々」、ゴッホ「ひまわり」、クレイン「ネプチューンの馬」、シュトゥック「罪」等々、教科書に載っているような有名な絵のホンモノがあるのだが、それ以外にもヨーロッパ絵画が一通りすべてある。
 他に、ドイツ絵画も充実しまくっている。例によってシュピッツヴェーク、印象派のリーバーマンやスレーフォークト、コリントなど、写実派のライブルやトリューブナーなど、ロマン派のフリードリヒなど。ドイツ新古典派やナザレ派の絵は、代表的なものばかり。

 やけに印象に残っているのが、ハンス・フォン・マレースという、ドイツ・ロマン派の画家。一部屋丸ごと、この画家の絵が展示されている。宗教主題を描いているのだが、ほの暗い色彩や肉厚の筆致が亡霊じみていて、なんだか不気味。

 館内は広い上に入館者が少ないので、ストレスなく観ることができる。入館者も、小学生くらいの子供から、ハイスクール、社会人スクール(?)の大人まで、美術の勉強に来ているらしいグループが多い。で、子供たちは床に座り込み、寝っ転がって、名画を研究しているというわけ。
 さすがヨーロッパ、教養の土壌が違う。

 To be continued...

 画像は、ミュンヘン、アルテ・ピナコテークのライオン像。

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