世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
ダッハウの老人(続々々々々々々々々々々)
帰途、旧市街を見物する時間はもうないので、教会周辺をちょっと廻ってから、ダッハウ城壁にタッチして、城沿いの坂道を駅へと急ぐ。旧市庁舎辺りには観光客用に民族衣装を着た市の職員らしい一団もいるのに、残念無念。
相棒、私にはさっさと歩けと言うのに、自分は片足を引きずるようにして、のろのろと歩いている。とうとう立ち止まり、靴を脱いで、しげしげと覗き込む。
相棒によれば、靴のインソール(中敷きの底)の部分が一箇所、破れていたのを放っておいたところ、歩くうちにめくれて、クルクルと丸まってしまい、足裏に、靴擦れを予感させる当たり方をするのだという。相棒、懸命に、破れた部分を引っ張って延ばすのだが、指を離すとすぐにクルンと巻かれてしまう。仕方なく靴と足裏とのあいだにハンカチを当ててみるが、どうもしっくりいかない。
東洋人の二人連れが立ち止まり、脱いだ片靴を囲んであーだこーだとやっている、そのやり取りを、プククと笑って通り過ぎていった一人のドイツ人。やにわに戻ってきて、「これでも貼れば?」とバンドエイドを渡して、笑いながら去っていった。
別に怪我してたわけじゃないんだけどね。だがドイツ人の好意を無駄にはできん! と、相棒、インソールのめくれた部分を再びピンと伸ばして、そこへバンドエイドをペタリ。「俄然、歩きやすくなったよ!」
とっとと駅まで歩き、ちょうど到着した列車に飛び乗ったまではよいが、車窓はどんどん田舎の風景に変わっていく。どうやら乗り間違えたらしい。
幾つかの駅を過ぎた後、ようやくそれに気づいて飛び降り、正しい列車を待つことウン十分。……ダッハウはなかなか私たちを放してくれない。
To be continued...
画像は、ダッハウ、旧市街の聖ヤコブ教会。
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Bear's Paw -ドイツ&オーストリア-
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