千恵子@詠む...................

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「ミズーラ」だ強姦と 司法の関係まざまざと

2017年09月29日 | 

強姦神話。①暗闇に潜んで女性を襲う、②変質者の性犯罪、③相手の抵抗を押しきって振るわれる暴力、というイメージ。

①本書によれば、全米での強姦事件の八割は友人知人によるものだという。日本でもそうだろう。元TBSワシントン支局長の山口敬之は「詩織」さんの知人だった。

②変質者に限らず、地域の英雄であり品行方正なアメリカン・フットボール選手の偶像は、複数人の複数回の強姦を隠す。山口の場合は、「官房長官の片腕」として有名な警察官僚の中村格が、捜査打ち切りを指揮したとか。逮捕状まで出てもウヤムヤにするほどの人脈。これぞ、品行方正を標榜する面々。

③被害者は強い恐怖に支配され、多くのケースで、相手をキレさせないよう途中で抵抗をやめてしまう。それは戦場と同様の死の恐怖で、生涯消せない後遺症を心に残す。

だが強姦神話の作用により、抵抗しなかったことが、加害者にも世間にも、合意だったとみなされてしまう。

「詩織」さんの場合は、タクシードライバーの証言や、ホテルの監視カメラに映っていた山口に引きずられている動画などあり「準強姦」ばっちり、アルコールや薬物使用の可能性もあるんだぞ。

なぜ東京第六検察審査会は「不起訴相当」と議決したのか。補助弁護士は、何してたんだ。名前が公表されてないので、情報公開請求だ。しつこく追求してやる。

  *  *  *

そんな強姦神話を覆えす、丹念に調査した報告が本書なのだ。

2010年からの、名門モンタナ大学アメリカン・フットボール部の部員によって起こった複数の強姦事件。被害者・加害者・検察・大学の調査部などにインタビューし、裁判記録を精査した執念のノンフィクション。大部であるが、読み応え充分。

知らなかった。レイプ・キットの検査は、四時間もかかるんだ。実質的にもう一度強姦されたと感じるアリソン。

事実は小説より奇なり。だけど普遍性がある、実話なのであった。

ちなみに作者の前書、『信仰が人を殺すとき』河出文庫も、おすすめ。

◆ジョン・クラカワー『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』亜紀書房

ミズーラ
亜紀書房亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ 『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』

朝日新聞: 書評「ミズーラ―名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度 [著]ジョン・クラカワー」

BLOGOS:「なぜ被害者と加害者が逆転するのか?- 書評「ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度」(映画評論家・柳下毅一郎)」


詩織さん

毎日新聞「被害届『不起訴相当』 詩織さんと山口氏のコメント全文」

弁護士ドットコム: 「検察審査会はなぜ不起訴を覆さないのか? 「詩織さん事件」から考える背景事情」

田中龍作ジャーナル: 「『レイプ犯』不起訴相当 第2、第3の詩織さんが出る」田中龍作

田中龍作ジャーナル: 「『レイプ犯』不起訴相当 第2、第3の詩織さんが出る」田中龍作

Twitter: 詩織さんを応援する会

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