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チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
+昭和50年代~現在のお話も・・・

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しのびよる影

2011年06月22日 | チエの玉手箱
「死期が早まってるのかな・・・」
暗闇の中、隣の布団からヒロシの声がした。

ここ2カ月程、彼は背中が痛いと苦しんでいる。
肩甲骨の内側と外側が痛いらしい。
どうも透析日の前日がひどいようなので、やはり病気のせいなのだろう。
心臓か、あるいはまた何処か毛細血管がやられているのだろうと思うも、
そのことについて、私は口にしないことにしている。


 どうしてこんな病気になっちまったんだろう・・・
 若い頃の暴飲暴食が祟ったのかな?
 いや、遺伝だな。親父も糖尿病だったもんな。
 だとしたら、あきらめるしかないのかな・・・
 クソッ、それにしてもこの痛みは、なんとかなんねえのかな。

 俺が通院し始めてから、もう何人死んだかな。
 鈴木さんだろ。安孫子さん。佐藤さん。もっといるな。
 みんなつい昨日まで元気そうだったのに、来ないなと思ったら死んでた。
 俺もそうなるのかな・・・


どんな思いが彼の頭の中を巡っているのだろう。
たとえ、夫婦であっても、頭の中まではのぞけない。
ただ、想像してみるだけだ。