チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第184話 回覧板

2010年07月17日 | チエちゃん
「チエー、上の家に回覧板持って行って!」

「うん、わかった~ たかひろ、いっしょに行こう!」

「上の家」というのは、お隣のことです。
チエちゃんの家は、山の中腹にありましたから、県道から坂道を登って行きます。
坂道は、途中で二又に分かれ、右へ行けば、チエちゃん家。
さらに登れば、お隣、つまりチエちゃん家より高い場所にあったので、通称「上の家」と言うわけです。

「上の家」のおばさんは、チエちゃんたちが回覧板や、おすそ分けを持っていくと、必ず、お駄賃として、子どもが喜びそうなお菓子をくれたのです。
そして、「お利口だね」と、いつも誉めてくれました。
 だから、チエちゃんも、たかひろくんも、お隣に回覧板を届けるのが楽しみでした。
お家にもある駄菓子なのに、おばさんからもらったお菓子は、誉め言葉の魔法がかけられ、特別おいしく感じられたのでした。

 チエちゃんが、中学生や高校生になって、もうお菓子をいただくような年齢じゃないからと断っても、おばさんは何かしらチエちゃんの手に握らせれくれたものでした。

 おばさんが、脳梗塞で亡くなられてから、上の家は空き家になり、先日の豪雨で土砂が家の中に入り、一部損壊したとの知らせがありました。