先週、紅葉狩りに行った時の1枚です
そろそろ冬物衣類を準備する季節となりましたね。
子供の頃は、毎年この時期、母が押入れにしまってある茶箱の中から、
セーターやオーバーコートを取り出してくれたものでした。
茶箱を開けた時にプンと香ってくる樟脳の匂いが、私は好きでした。
その匂いに、もうすぐやって来る寒い冬のにほひを重ね合わせていたからかもしれません。
或いは、セーターを頭から被る時に鼻をつくその匂いに、母への感謝の気持ちを感じていたのかもしれません。
母は昔人で、母親や母の祖母から教わったことを忠実に実行していました。
一度袖を通した衣類は必ず洗濯をしてからしまい、夏の暑い時期には茶箱を開いて虫干しをし、防虫剤を確認した後、また保管するのです。
世間一般にはどうも防虫剤の臭いは敬遠されているらしく、最近では無臭の物が出回っていますが、時折、雑踏の中で、あのなつかしいナフタリンの匂いを嗅ぐことがあります。大概、その主はご年配の方です。
樟脳とナフタリンは同じものと思っていましたが、原料が異なっており別物のようです。
樟脳は、クスノキから抽出した物である(漢字のとおりです)のに対し、ナフタリンはコールタールを精製した物だそうです。代用品であったのでしょう。
あの頃、生家で使っていた防虫剤は、ナフタリンであったと思われますが、母は樟脳と呼んでいました。
「樟脳」は、もう死語ですね。