(原題:The Hulk)2003年作品。マーベルコミックのお馴染みの代表作を「ウェディング・バンケット」などのアン・リー監督が映画化。実験中に致死量のガンマ線を全身に浴びる事故に巻き込まれ、逆上すると緑色をした巨大なモンスター“ハルク”へと変身するようになった遺伝子学者の数奇な運命を追うアクション編だ。
アン・リー監督の身上は台湾時代の「推手」から一貫して“家族の絆”であることには異論はないだろう。ところが問題はハリウッドに渡ってから秀作「ブロークバック・マウンテン」を撮るまでの間、その演出力・描写力が衰えていたことだ。さらに悪いことに「アイス・ストーム」などという要領を得ない家族劇を取った後の「グリーン・デスティニー」の興行的成功で思い掛けず“活劇派”とのレッテルを貼られてしまう。
私は「グリーン~」は目覚ましいアクション場面が冗長な人間ドラマと居心地悪そうに並んでいるだけの失敗作だと思っているが、アメリカ映画界はそう考えなかったらしく、今回は人気アメコミの実写映画化という、アン監督の資質に最も合わない企画をあてがってしまった。結果は「グリーン~」と同様である。
確かに活劇場面は素晴らしい。沙漠でのハルクと米陸軍とのバトルなど大したものだ。しかし、エリック・バナ演じる主人公とニック・ノルティ扮する父親の確執やジェニファー・コネリー演じるヒロインと彼女の父親との反目を必要以上にダラダラ流し(その割には内容が薄い)、ひたすら上映時間を引き延ばす無駄な努力しかしていないのを見ると脱力するしかない。
漫然とした展開を補うためか、画面分割などの映像ギミックを多用しているが、観ていて鬱陶しいだけだ。アン監督はそろそろ台湾に帰って腰を据え、原点に戻ってシッカリとした映画を作って欲しい。
アン・リー監督の身上は台湾時代の「推手」から一貫して“家族の絆”であることには異論はないだろう。ところが問題はハリウッドに渡ってから秀作「ブロークバック・マウンテン」を撮るまでの間、その演出力・描写力が衰えていたことだ。さらに悪いことに「アイス・ストーム」などという要領を得ない家族劇を取った後の「グリーン・デスティニー」の興行的成功で思い掛けず“活劇派”とのレッテルを貼られてしまう。
私は「グリーン~」は目覚ましいアクション場面が冗長な人間ドラマと居心地悪そうに並んでいるだけの失敗作だと思っているが、アメリカ映画界はそう考えなかったらしく、今回は人気アメコミの実写映画化という、アン監督の資質に最も合わない企画をあてがってしまった。結果は「グリーン~」と同様である。
確かに活劇場面は素晴らしい。沙漠でのハルクと米陸軍とのバトルなど大したものだ。しかし、エリック・バナ演じる主人公とニック・ノルティ扮する父親の確執やジェニファー・コネリー演じるヒロインと彼女の父親との反目を必要以上にダラダラ流し(その割には内容が薄い)、ひたすら上映時間を引き延ばす無駄な努力しかしていないのを見ると脱力するしかない。
漫然とした展開を補うためか、画面分割などの映像ギミックを多用しているが、観ていて鬱陶しいだけだ。アン監督はそろそろ台湾に帰って腰を据え、原点に戻ってシッカリとした映画を作って欲しい。



