元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」

2010-09-02 06:34:36 | 映画の感想(た行)

 (原題:The A-Team)キャラクター設定やアクション場面は随分と脳天気であるのに対し、ストーリーラインがさほど脳天気ではないのが不満である(笑)。往年のTVシリーズ(私は未見)の映画化で、アメリカ陸軍レンジャー部隊のハミ出し4人組が、フセイン派の残党が作成した偽ドル札の原版をめぐる争奪戦に乱入。程度を知らない大暴れを展開するというハナシだが、どうも“敵役”の正体がハッキリしないのだ。

 CIAの不穏分子が原版の横取りを画策しているらしいというのは分かるが、こいつらが軍に対してどういう影響力を持ち合わせているのかは説明が不十分。さらに別に一匹狼のようなCIAのエージェントがいて、勝手に動き回っているのだから事態は複雑だ。考えてみれば、斯様な混迷を前にしてCIAの当局側が有効な手立てを講じないというのも不可思議である。

 作者としては中東問題に色目を使って今日性を強調させたかったのだろうが、活劇映画で安易に扱われるほど現在の国際情勢はシンプルではない。おかげで映画が終盤になっても、カタルシスが一向に感じられないのだ。もっと単純な話で良かったのではないか。

 こういう“外見”の映画では、込み入ったストーリーは不要だ。相手をテロリストグループとかマフィアとか、そういう“誰が見ても悪だ”と合点する連中に設定し、ドンパチを延々と展開すれば大方の観客は満足する。シンプルな作りに徹していないのが、あまり気勢が上がらない原因である。

 それでも、アクションシーンの荒唐無稽さは、笑ってしまうほどだ。戦車に乗ったままパラシュートで降下したり(しかも、その途中で戦闘機と交戦)、ビルの壁面を垂直に駆け下りながらの銃撃戦など、完全に物理法則を無視した場面が臆面もなく展開される。ただ、敵地への潜入シミュレーションに実戦がクロスするシークエンスは大して盛り上がらない。監督ジョー・カーナハンの中途半端な“映像派”ぶりが足を引っ張っている。

 主演のリーアム・ニーソンはテレビ版のジョージ・ペパードよりもハンサム度は少し落ちるのかもしれないが(爆)、十分絵になっていると思う。ブラッドリー・クーパー、クイントン“ランペイジ”ジャクソン、シャールト・コプリーといった他のメンバーも悪くはない。しかし、ヒロイン役のジェシカ・ビールは出番は多いのに見せ場が少なくて不満。敵役も貫禄不足だ。まあ、続編の作成を匂わせるような雰囲気なので、次回は頑張ってくれるのかもしれない。あまり期待せずに待つことにしよう(笑)。
コメント
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