(原題:I AM NUMBER FOUR)本作の舞台がオハイオ州の片田舎にある高校で、アメフト部のイジメっ子がいて、イジメられる側は顔に何か液体を引っかけられて・・・・となると、TVドラマ「glee」に何となく似ている(笑)。さらには「glee」のチアリーダー役のディアナ・アグロンも出ていたりして、ひょっとしたら両者は同じセットで撮られたのではないかと思ったりもするが、もちろんこの映画は合唱部の連中が引き起こす珍騒動を追ったりはしない(当たり前だ ^^;)。マイケル・ベイ製作によるSFアクションスリラーである。
ただしTVドラマ風だというのは確かで、有り体に言えば“新番組の初回2時間スペシャル”みたいな位置付けのシャシンだ。もっとも同じ特撮ものでも先日観た「マイティ・ソー」みたいな腑抜けた出来ではなく、それなりに楽しめるタイトな作りになっている。
街から街へと移り住む生活を送っているジョンは、実は別の惑星から地球にやってきた亡命者だ。ところが彼の故郷を滅ぼした邪悪なエイリアンの魔の手は容赦なく迫る。エイリアン側は地球侵略も企てているが、超能力を持った9人の亡命者をまず片付けておかないと事は上手くいかないらしく、まずは9人のうち3人が血祭りにあげられてしまう。次は“ナンバー4”であるジョンの番だ。今回彼がたどり着いたオハイオ州の高校ではオタクっぽいクラスメートやアナログカメラに凝っている女生徒と仲良くなったりして、けっこう居心地は良いように思えたが、しつこくエイリアンは追ってくる。
とにかく、余計な説明がないのがポイントが高い。“主人公は悪者に追われている”という設定だけをサッと紹介して、あとは学内のバトルシーンに突入する。その思い切りが良い。活劇場面はけっこうレベルが高く、そんなに大きな予算は投入していないが、段取りの上手さとスピード感で一気に見せきっている。
「イーグル・アイ」などのD・J・カルーソ監督の腕前は及第点には達しており、演出テンポによどみは無くスムーズに進む。インベーダーの手助けをするハメになるオタク連中や主人公が飼っている“犬”など、脇のキャラクターも見逃せない。
主演のアレックス・ペティファーはどうも線が細い青二才で頼りないが、アメリカではこういうのがウケるのだろうか。対して終盤に登場する“ナンバー6”役のテリーサ・パーマーはカッコ良く、主役は大事なところで見せ場を持って行かれた感がある(笑)。「glee」では美少女キャラという設定だったD・アグロンも清潔感のある魅力を発揮しているが、歌や踊りのシーンが無かったのは残念だ(あるわけないだろ ^^;)。
残り4人の異星人は登場せず、エイリアン共もこれで諦めた様子は見受けられないが、“この続きは毎週○曜日の夜×時から!”みたいなノリでパート2以降への興味を持たせる意味では良いのかもしれない。Q・タランティーノやギレルモ・デル・トロの作品でおなじみの撮影監督ギレルモ・ナバロによる奥行きのある映像や、トレヴァー・ラビンの重厚な音楽も要チェックだ。