うつりきてなほ平積みにつむ本の山のうへにも春立ちにけり
(青輝翼)
古書の海、珈琲、煙草、老店主のこれがスタイル客をらずとも
(八木明子)
薄氷のあひに柄杓をさし入れてしづもる水の眠りをさます
(洞口千恵)
「神様に返されし命」何にでも挑みてみむと思ふ早春
(有沢螢)
だんだんとかばんが小さくなりてゆく なくてはならぬものなどなくて
(鶴田伊津)
猫の毛のまつわれる黒きスーツ着て一日この猫とともにはたらく
(内山晶太)
冬の陽はあまねく家具にふりそそぎ無疵のバターに刃を当つる朝
(木曽陽子)
いつぽんの素心蠟梅見むためにまはり道せりきさらぎ七日
(佐々木通代)
緘黙の少女が唯一声を出すインフルエンザ予防のうがい
(八木博信)
朝の手のゆるびたるまま時すぎてますぐならざる文字をかなしむ
(伊藤冨美代)
***********************************
短歌人4月号、同人1欄より。
(青輝翼)
古書の海、珈琲、煙草、老店主のこれがスタイル客をらずとも
(八木明子)
薄氷のあひに柄杓をさし入れてしづもる水の眠りをさます
(洞口千恵)
「神様に返されし命」何にでも挑みてみむと思ふ早春
(有沢螢)
だんだんとかばんが小さくなりてゆく なくてはならぬものなどなくて
(鶴田伊津)
猫の毛のまつわれる黒きスーツ着て一日この猫とともにはたらく
(内山晶太)
冬の陽はあまねく家具にふりそそぎ無疵のバターに刃を当つる朝
(木曽陽子)
いつぽんの素心蠟梅見むためにまはり道せりきさらぎ七日
(佐々木通代)
緘黙の少女が唯一声を出すインフルエンザ予防のうがい
(八木博信)
朝の手のゆるびたるまま時すぎてますぐならざる文字をかなしむ
(伊藤冨美代)
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短歌人4月号、同人1欄より。