気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

マクベスの妻 杉田加代子歌集

2006-12-10 00:54:34 | つれづれ
  杉田加代子歌集 『マクベスの妻』 十首選 

わたしにもマディソン郡の橋はある渡つたなんて言つてはないが

逢はないと決めてしまへばあをあをと朝の空からひかり降りくる

結末が三十一音目に来ることを知つてゐるから短歌がすきだ

紫の肩にひとひら花をのせうた寄せくると待ちてゐるなり

少しだけ椅子の高さを変へてみる世界がそれで変はるといふなら

はじまりはゆつくりと書く手紙だが結ぶころにはきりぎしのやう

夫のゐぬ休日まへの夜の更けは旧かなづまひの息をしてをり

マクベスの妻の衣を脱ぎたればそれだけで闇それだけで百合

昨夜見し夢の残滓を隠したる白磁の壺のゆるきふくらみ

トニー谷に名前問はれしこともなく父は逝きたり昭和とともに

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杉田加代子さんの第一歌集『マクベスの妻』を読む会が催されたので、出かけた。
参加者16人がそれぞれ十首選んで持ち寄り、それぞれが選んだ理由を述べた。
私は、杉田さんの朝日カルチャー千里教室の後輩であるが、彼女の歌にたいする情熱、旧かなで貫きながら文語でも口語でも自在に表現できる力量を素晴らしいと思っている。抑制された上品な色っぽさがあり、それは皆が認めるところである。
ほかの人の十首選を読んで、新しい発見もあり有意義な会だった。
おまけに、つづきの歌会にもお邪魔させてもらい、良い経験をさせていただいた。



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