気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人12月号  十二月の扉

2010-11-28 01:26:00 | 短歌人同人のうた
予報士は「やさしい雨が降る」と言ふ今のわたしに土砂降りをこそ

三日月のかぼそくありて一瞬と永遠の間(あひ)ふたりで漕ぎぬ

(真狩浪子 おんなじことば)

少年と女衒を隔て河の辺に天にきらめく千の夜の星

一つ鎖に囚徒ふたりを繋ぐ刑 わが思うとき夕日みている

(久保寛容 余談)

通年を青くしげれる葉のかげに御霊は在す ガイド嬢いう

カーテンを開ければ素肌の富士が立つ窓いっぱいを塞ぐがに立つ

(立花みずき 谷風に揺る)

金木犀ふいに匂へば友はいふ六十年は呆気ないもの

門口に椿の黒き実は降れりひとつぶごとに空はふかまる

(大橋弘志 旧友(とも)来たりし後(のち)秋深まりぬ)

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短歌人12月号、十二月の扉から。

真狩さん、若々しい感性のある歌。「一瞬と永遠の間(あひ)ふたりで漕ぎぬ」という下句に惹かれた。
久保さん、高瀬賞受賞作「チェイン・ギャング」を彷彿とさせる作品。
立花さん、青木ヶ原樹海へのバス旅行に取材した歌。窓いっぱいを塞ぐような富士を、私も見てみたいと思った。
大橋さん、旧友との出会い、そして追憶。



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