気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2010-11-29 20:12:01 | 朝日歌壇
いつか死ぬでも今じゃない。信号が青にかわってみな歩きだす
(東京都 無京水彦)

兵隊さんの服にするため兎飼い兎殺めき十さいの手にて
(城陽市 山仲勉)

トスの上がる画面の右にレシーブを受けし選手が転がりて消ゆ
(美唄市 寺澤和彦)

********************************

一首目。真実を言い当てている歌で、ドキリとさせられる。日常の生活のなかにこそ死は潜んでいる。「。」が場面を転換させて巧み。
二首目。戦時中のことなのだろう。子どもに言うときの「兵隊さん」という言葉がリアルだ。兎が二度出てくるが表記を同じにしたことで、同じ兎を飼って殺めたことが表わされている。「十さいの手」がいたましい。兎というおとなしい生き物であることが悲しい。結句八音で字余りだが、「にて」まで丁寧に言って効果をあげていると思う。
三首目。テレビの実況中継のような歌だ。歌を作るときは、画面の隅まで見て作れ、隅にこそ詠むべきものがある・・・と言われるが、まさにそれを実践した歌。

京都は観光シーズンで、人がいっぱい。道幅が狭く、車が渋滞するので出かける気がしません。画像は、岩倉実相院の「床紅葉」。一度だけ歩いて見に行きました。

最新の画像もっと見る