気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人5月号 同人のうた その2

2013-05-10 01:30:09 | 短歌人同人のうた
あちら側は母を送りて生きている者らの食ぶる膳にしゃぶしゃぶ
(今井千草)

金宮の梅割り一杯三百円三杯飲みて小舟を漕ぎぬ
(宇田川寛之)

白梅と紅梅より添ひ咲きゐるはやさしきかたち宵の緑道
(蒔田さくら子)

しっかりと磨いたやうな星たちが頭上にありて春の立つらし
(檜垣宏子)

生と死はわづかな違ひかもしれぬ雪は水面にふれて融けゆく
(原田千万)

許される許されないは薄紙の一重ほどにて嘘の数々
(村田馨)

遺影にする写真がないという義母の髪ととのえて撮る冬の午後
(平林文枝)

老いと言ふ面妖なものにいざなはれ顔が顔みる鏡の面
(新谷統)

もう乗らなくていい病院行きのバスが行く静かに揺らるる三人見えつ
(松崎圭子)

臨終に袋のひもを握りしめ何をあちらに持っていったの
(廣西昌也)

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短歌人5月号、同人1欄より。

近づけばたちまち点る灯のしたをひかりのかたちにふる春の雪
(近藤かすみ)

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2 コメント

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春の雪 (小川良秀)
2013-05-11 00:17:55
近づけばたちまち点る灯のしたをひかりのかたちにふる春の雪

漢字、ひらがなの使い方や配列がすばらしく詩の内容も素直でやすからぬものがあります。
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Unknown (かすみ)
2013-05-11 00:54:35
小川良秀さま

お読みくださってありがとうございます。

ぼちぼち歌を続けています。よろしく。
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