気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人5月号 同人のうた

2013-05-07 22:09:21 | 短歌人同人のうた
骨壺の白きを抱きて通ひ合ふこころ薄かりし歳月おもふ
(吉浦玲子)

猫は老いて跳ばずなりたり臥しながらあくがれて音(ね)に高き鳥を呼ぶ
(酒井佑子)

風化より美化がおそろし風塵をふかくしづめて雪は降りつむ
(洞口千恵)

うつくしい夜だと思う白猫が尻尾ではらう死の影数多
(高野裕子)

ほほ瘠せて高校生のおもざしの兄にてありきさいごの会ひに
(佐々木通代)

その昔食べ物屋には占いの器物のあれどこの頃見えず
(水谷澄子)

雨の日は雨を楽しみ身の内に水すまし一匹棲まわせておく
(山本栄子)

てのひらを開けばここは春の丘堅香子の花ひとつを点す
(春畑茜)

ちかぢかと亡き人のうる雛の夜のひとり宴はさびしくあらず
(三井ゆき)

眠るのみの母にことしも春は来てアネモネの花庭に咲きたり
(小池光)

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短歌人5月号、同人1欄より。


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