気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人11月号 11月の扉

2011-10-29 00:24:08 | 短歌人同人のうた
二週間ぶりの都心に涼しげな風吹く総理辞任は決まり

折りたたみ傘をたためばポキポキと骨折れる音ひびく地下道

(井上洋 盛夏)

理不尽な声はだまって聞きながすフクシマの桃は福島の桃

磔刑の柱のごとき雲生れてひとときのちは跡形もなし

(会田美奈子 地上に出合う)

不明者の逃げまどふさま思ひつつ焼きただれたる道を踏みゆく

復活の烏賊釣り船の初漁の烏賊の刺身を啜りこみたり

(阿部凞子 焼きただれる道)

ここに居るはずのひとあらぬ淋しさに人差し指にみんなあつまる

ふと海の匂ひにたたずむ張られゐる離島航路の時刻の中の

(山本じゅんこ 母のゐぬ日々)

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短歌人11月号、11月の扉から。

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