気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2011-10-31 22:22:29 | 朝日歌壇
休耕のハウスの扉開いており主は狸の出入りを許す
(箕面市 岩井スミ子)

落暉(らっき)いまビルの面(おもて)に映りたり誰にもわずかばかりの無頼
(東京都 鈴木詩帆)

音もなく夕べの茜ひろがりて寺町いづこも木犀かをる
(ひたちなか市 篠原克彦)

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一首目。休耕のハウスだから、狸が入ってきても作物を荒らされる心配もなく、のんきに扉を開けたままなのだろう。むしろ狸の来訪を喜ぶかに見える。ユーモラスな一首。
二首目。下句に共感した。上句で自然を描写し、下句で抽象的なことを言っている。上句と下句の離れ方がいい。ただ、ルビが二か所にあるのはうるさい気もする。
三首目。京都にも寺町通りがあるが、作者の住むところにも寺町があるのだろう。夕べの茜のひろがり、木犀のかをりのひろがりが重なって美しい歌になっている。

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