気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2006-08-08 20:06:03 | 朝日歌壇
主人在宅症候群の妻を持つ男がクラス会に来ており
(茨木市 瀬川幸子)

冷房の効きたる店をたどりつつ日暮を待ちて帰るほかなし
(長崎県 中上鉄郎)

極楽図より地獄図の念入りに描かれいるに見惚れて飽かず
(武蔵野市 野口由梨)

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一首目。主人(または亭主)在宅ストレス症候群のことだろう。ストレスを入れると言葉が長くなりすぎるので、これでわかる。主人とは夫のこと。夫は厳密には主人ではないが、主人と立てて言っておくと、不本意ながらコトがスムーズに運ぶ。配偶者が空気のような存在で、夫婦で一緒にいて気楽なんていう夫婦が、本当に居るのだろうか。そんな幻影を描くしかなく、それに縋っていると真実を見る目が曇っていく。でも真実は恐ろしくて見ないほうが良いのだ。せいぜい別々に出かける場所を作るべきだ。私は出かける場所、一杯あります(笑)
二首目。よく効いている冷房というのは、親切なのか嫌がらせなのか、わからなくなる。快適と思える温度は人によって違うのだが、他人の設定した「快適さ」に順応すると、身体も自分で判断しなくなる。それで後から疲れが出る。こわいことだ。だれかの策略か。
三首目。外から見ているかぎり、地獄図の方に心ひかれて見惚れるのは人間の習性だろうか。こういうことを言うと品性が卑しくなるので、控えなければいけないが・・・



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