気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2006-06-26 11:53:58 | 朝日歌壇
日一日紫陽花の青いろを増す浮子ひとつ浮くガリレオ温度計
(名古屋市 諏訪兼位)

妻と寝しフランスベッド畑に上げ蜜柑畑の猪垣と為す
(今治市 藤原守幸)

古書店の翳をもたざる「ブックオフ」ライトあかるく臓腑を照らす
(沼津市 森田小夜子)

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一首目。ガリレオ温度計の意味がすぐにわからなかったが、そのときの温度に該当する浮子(うき)が筒の中の一番下に来て、温度を示すものらしい。インテリアグッズ。浮子の色が紫陽花の色のグラデーションを連想させる。一首に盛り込み過ぎの歌だが、題材は面白い。
二首目。上句、妻と寝しフランスベッドまでを読むと、艶っぽい歌を思うが、ベッド老朽化して廃物利用したという歌。ベッドなら使えなくなったら、別に利用したり、捨てたり出来るが人間というものは、もっと厄介。
三首目。古本が臓腑であるという見立てが良い。本というのは、思いいれがあるから買って、蔵書とするものだが、売るとなると悲しい。手放したら二度と手に入らないと思うからどんどん本は増える。しかし、一旦売ったのなら、あっさりあかるく売られた方がいいという考えもわかる。前の持ち主の書き込みがあったりすると、やはり気持ちが悪い。それにしても、ブックオフの店内放送の喧しさはなんとかしてもらいたい。お客がわけがわからなくなって、つい買ってしまうのを狙っているのかと勘ぐってしまう。



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