気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

茉莉花のために 多田零

2006-06-25 00:24:22 | つれづれ
くわりん飴ひとつぶながら力なる 地下街にゐてきざしし餓ゑに

冷蔵庫修理にきたる男ゐて荒草の香のある家となる

うつくしき葬儀すすみぬダイアナがひと生にアイロンをかけしは幾度

身に砂糖いれたる銀の白鳥はくびを摑まれて運ばれゆきぬ

さまざまの悪感情がわたくしを轢くゆゑけふの夕餉は鰻

(多田零 茉莉花のために)

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関西短歌人会の先輩、多田零さんの歌集を読みなおす。
短歌に悪感情を書いて当然、ということや、旧かなの魅力など、多田さんから学んだことは多い。数年前に読んだ歌集をふりかえって読むと、そのときと違った読み方があることに気が付く。題詠マラソンなどでも、この歌集からヒントを得て作った歌もいくつかあったことを改めて思い出した。



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