気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2011-12-26 19:55:33 | 朝日歌壇
骨に鬆(す)が入っているらし老いという宇宙に向かう朝の薬(カプセル)
(札幌市 佐々木信子)

遊園地に来ているような気がしますバリウム飲んでくるくる回る
(名古屋市 福田万里子)

接ぎ穂なく愚痴を舙(しゃべ)りて心軽き媼を送る大夕焼けへ
(岐阜市 棚橋久子)

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一首目。老いを「宇宙」と捉える感性を素晴らしいと思う。それに向かうために薬はカプセル。うまく出来すぎの感じもするが、面白い。上句の具体が下句を支えている。
二首目。胃の検査のためにバリウムを飲んでくるくるさせられるのは、はっきり言って不快なものだ。しかし作者は遊園地みたいという。こういう風に楽しいことに気持ちを切り替えることができる人は幸せだ。きっとストレスもたまりにくく胃も丈夫なのではないだろうか。口語がわかりやすく実感がこもる。
三首目。舌を三つ重ねて「しゃべる」と読むということをはじめて知った。作者は媼の家族か、介護施設か病院で働く人なのだろうか。結句の「大夕焼けへ」がすばらしい。
これからますます老齢化のすすむ日本だが、発想の転換とユーモアで辛いことも乗り切るのが大事だと思う。
まあそんなに気張らなくても、なんとかなるようになると思わんと・・・ね!

画像は寒椿。季節の花300のサイトからお借りしています。

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