気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人12月号 同人のうた その3

2011-12-22 17:05:08 | 短歌人同人のうた
食べかけの林檎残してゆきにけりスティーヴ・ジョブス罪人の子は
(木崎洋子)

入道雲のありしところは暮れてなお力みなぎる夜空となれり
(八木博信)

出口なき出来事ひとつ絡みつく飯の種ぞと言い聞かすのみ
(栗明純生)

労金へ向う途中のゴミ屋敷 見る一瞬の冥きたのしみ
(古本史子)

ゆるゆると生きていくばく残りたる時間の窪に秋立ちにけり
(佐藤慶子)

はや五十の春秋は過ぎわれといふいたがゆきもの今苦にはせず
(菊池孝彦)

写真館の部屋にひとつの季節あり家族写真という夕茜
(梶田ひな子)

とほうもなく遠いところに来たものと古き日記をひらきてわれは
(関谷啓子)

ちりぢりになりゆく庭の秋明菊のこりななつの花を惜しまむ
(小池光)

パソコンのたちあがる音に温みあると思ふまで秋深みゆく
(斎藤典子)

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短歌人12月号、同人1欄より。

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