まだ旅の途中のわれはこの夏のむくげの白に洗はれてたつ
(三井ゆき)
ふくらみて滴と落ちくる点滴の朝の光はいのちのひかり
(松永博之)
とりかへしつかぬ速さで緑からオレンヂ色になりゆくゴーヤ
(杉山春代)
ガーベラのいちりん咲ける文机に父の使いし虫めがね輝(て)る
(木曽陽子)
天津のポプラの葉裏しらしらと太極拳の師のさよならの声
(岡田経子)
ふるさとはとほきにありて思ふことさへなき日日や 花いちもんめ
(菊池孝彦)
負けて勝つそんな人生もう厭きた尖閣諸島は日本の領土
(卯城えみこ)
うっすらと錆をうかべて剃刀は放置されたり父の剃刀
(村田馨)
少年の顔をはなれて濃紺のセルの眼鏡が夜の卓にあり
(春畑茜)
窓を開け名月みながら横たはる私がずんずん初期化されてゆく
(檜垣宏子)
***************************************
短歌人12月号、同人1欄より。
(三井ゆき)
ふくらみて滴と落ちくる点滴の朝の光はいのちのひかり
(松永博之)
とりかへしつかぬ速さで緑からオレンヂ色になりゆくゴーヤ
(杉山春代)
ガーベラのいちりん咲ける文机に父の使いし虫めがね輝(て)る
(木曽陽子)
天津のポプラの葉裏しらしらと太極拳の師のさよならの声
(岡田経子)
ふるさとはとほきにありて思ふことさへなき日日や 花いちもんめ
(菊池孝彦)
負けて勝つそんな人生もう厭きた尖閣諸島は日本の領土
(卯城えみこ)
うっすらと錆をうかべて剃刀は放置されたり父の剃刀
(村田馨)
少年の顔をはなれて濃紺のセルの眼鏡が夜の卓にあり
(春畑茜)
窓を開け名月みながら横たはる私がずんずん初期化されてゆく
(檜垣宏子)
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短歌人12月号、同人1欄より。