気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人12月号 同人のうた

2012-12-19 22:32:38 | 短歌人同人のうた
ひとり住む部屋の鍵とき入りたるをただ月あかり満ちてゐるのみ
(阿部久美)

身不知の柿思ひなく熟れ垂りて目上ぐるところ秋冥の天
(酒井佑子)

わが頸にひと日取りつく女ゐて「頭痛肩こり樋口一葉」
(有沢螢)

満洲国その日地図からふいに消え空洞に濃き闇はひろがる
(長谷川莞爾)

正しいと信じるための儀式かも月曜日にはシーツを洗う
(鶴田伊津)

前髪を洗面台で切ってゆく切りすぎるまで手は止まらない
(猪幸絵)

シャキシャキと音立て回る新しき鍵は角ある若者のよう
(林悠子)

夏用の藺草の座布団しまひゆく一度も誰も座らぬままに
(斎藤典子)

書棚より取りいだしたる一冊の付箋の意味をしばしおもひぬ
(宇田川寛之)

携帯は丸いのがいい風の中てくまくまやこん開いてみんか
(今井千草)

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短歌人12月号、同人1欄より。

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