気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

紫のひと 松村正直 短歌研究社

2019-09-16 12:14:43 | つれづれ
上流へむしろながれてゆくような川あり秋のひかりの中を

言うことに疲れ畳の制服の息子をひろい壁に掛けたり

境内に桜はあるを花咲けば桜のなかに寺あるごとし

るるるると巻き取るパスタ 正解を知っていながらいつも間違う

水はひかりを光はみずを弾きつつ滝壺ふかくに声をひびかす

水面へと鯉は盛んに口を出しもっともっとと求めてやまず

目鼻なくなるまで生きるということの人にはなくて石仏は立つ

一度しかない人生の一度目を生きて迷えり昼のメニューに

つかまえたはずが捕まえられていて洗濯ばさみに垂れるハンカチ

困ってることがあったら言ってよね困っていても困るのだけど

(松村正直 紫のひと 短歌研究社)

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