気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

微風域 門脇篤史 現代短歌社

2019-09-10 23:42:35 | つれづれ
側溝に入れなかつた雨たちがどうしやうもなく街をさまよふ

ハムからハムをめくり取るときひんやりと肉の離るる音ぞ聞ゆる

権力の小指あたりに我はゐてひねもす朱肉の朱に汚れをり

なにもなき日々をつなぎて生きてをり皿の上には皿を重ねて

捨つるため洗ふ空き缶水道の水を満たせばふたたび重し

アヲハタのジャムの小瓶に詰めてゆく自家製ジャムのたしかなる熱

コピー機を腑分けしてゐる一枚の詰まりし紙を探しあぐねて

五線譜にをさまるやうに生きてゐるコロナビールにさし込むライム

会議室を元の形に戻しをり寸分たがはずとはいかねども

ひえびえと異国のみづに満たされてペットボトルはひかりのうつは

(門脇篤史 微風域 現代短歌社)

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