気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人11月号 同人のうた その3

2011-11-24 18:13:55 | 短歌人同人のうた
ゆうぐれの男の子女の子は蛍なりケータイという明かりともせり
(水谷澄子)

足裏より冷たき水が流れ来る被災地よりのハガキいちまい
(卯城えみこ)

カニ風味かまぼこの風味もつ蟹をわれ空想す机のうへに
(菊池孝彦)

とろとろと母のかたえに薄紙をほどけば干菓子の淡きももいろ
(佐藤慶子)

いつせいにゑのころ草は穂先立てあしたの風に千の猫呼ぶ
(寺島弘子)

ただひとつ懐かしむ秋鈴のごとしポケットの海に右手沈めて
(金沢早苗)

秋の水こぼさぬように呉羽梨(くれはなし)天地無用の箱にて届く
(木曽陽子)

投げ入れる銀貨ひらりと光りしを賽銭箱は音たてて取る
(平野久美子)

川の音(と)のリズムに歩調あはせたり尾花、とらのを、翔ぶアキアカネ
(渡英子)

カブトムシの雌といつしよに暮らしをりカブリーヌなる名前も付けて
(宇田川寛之)

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短歌人11月号、同人1欄より。
画像は京菓匠「甘春堂」さん、七五三のお祝いの干菓子です。

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