気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人11月号 同人のうた その2

2011-11-16 18:56:54 | 短歌人同人のうた
ドヴォルザークの「家路」流るる夕まぐれ書架の疲労はここにきはまる
(杉山春代)

紙コップの糸電話から聞こえくる秘密のはなしはわれだけのもの
(澤志帆)

目のまへの肉の脂身を切るときに不可解ならむ人生に倦む
(斎藤典子)

50mサランラップが唐突にをはりを迎へ心棒のこる
(小池光)

楽しくない人がどこまでもついてくる三次会終えし深夜の巷
(西勝洋一)

銀幕に向日葵の黄はゆれやまず廃兵ならぬわれの退屈
(藤原龍一郎)

生きてゐる証に送つてくれるらしい有の実なれば断り切れず
(中地俊夫)

パチンコを一度も打たず海外へゆかずに竹山広死にたり
(山寺修象)

水中で鈴振るごとき清しさよ何も残さぬ日々と思えば
(守谷茂康)

もうだれもゐない川原にもも色のクロックスかたつぽころがつてゐる
(庭野摩里)

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短歌人11月号、同人1欄から。


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