気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

穂すすきの母 河野裕子

2007-11-24 23:21:36 | つれづれ
煮物や野菜持たせて帰らす息子には妻がゐるなり三人子(みたりご)の母

忘れないでわたしのことを妹が一人占めしてゐる穂すすきの母

ごはんを炊く 誰かのために死ぬ日までごはんを炊けるわたしでゐたい

茶の花の次は柊(ひひらぎ)と少しづつ先の楽しみ作りて暮す

ほのあをく巻きてをりしが霜月のしづかな雨にあさがほが咲く

(河野裕子 穂すすきの母 角川短歌12月号)

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今月号の角川短歌から、河野裕子さんの歌。
前半は、ご自身の病気のことが題材になっていて、後半は家族の歌がほとんど。
二首目は、年老いたお母さまが居られて、妹さんと暮らしてられるので、姉の私のこともわすれないでという歌。母も妹も居ないひとりっ子の私にはピンと来ないが、家族の情愛というのはこういうものなのだろう。家が近いので、ときどき近所のスーパーマーケットで買い物をしておられる姿を見かける。雑誌の写真で見るより、小柄な方である。家族や親戚との縁が深くいつも家族のことを考えておられるようだ。こういう歌を読むと、私など家族の縁が薄く、わがままで、ひどい母親だと思う。煮物や野菜など持たせたこともない。いろいろなタイプの母が居ても勘弁していただきたい。最後のあさがをの歌を読んで、こころがほっと和んだ。

ひとりでも生きて行つてと育てし子教へどほりに離れてゆきぬ
(近藤かすみ)


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