いつの間に夜の省線にはられたる軍のガリ版を青年が剥ぐ
コンパスの針をあやまち折りしより心は侘し夕昏るるまで
夕ぐれは焼けたる階に人ありて硝子の屑を捨て落とすかな
漠然と恐怖のかなたにあるものを或いは素直に未来とも言ふ
傍観し得る聡明を又信じふたたび生きむ妻と吾かも
(近藤芳美 埃吹く街)
***********************
先月亡くなられた近藤芳美の歌を、読みたいを思っていた。たまたま、図書館から借りている三枝昂之『昭和短歌の精神史』から、近藤芳美について書かれている箇所を拾い読みする。テポドンのあれやこれやのニュースを見つつ、複雑な思いで読んでいる。
コンパスの針をあやまち折りしより心は侘し夕昏るるまで
夕ぐれは焼けたる階に人ありて硝子の屑を捨て落とすかな
漠然と恐怖のかなたにあるものを或いは素直に未来とも言ふ
傍観し得る聡明を又信じふたたび生きむ妻と吾かも
(近藤芳美 埃吹く街)
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先月亡くなられた近藤芳美の歌を、読みたいを思っていた。たまたま、図書館から借りている三枝昂之『昭和短歌の精神史』から、近藤芳美について書かれている箇所を拾い読みする。テポドンのあれやこれやのニュースを見つつ、複雑な思いで読んでいる。