気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人12月号 同人のうた その2

2013-12-18 15:32:18 | 短歌人同人のうた
なつかしき電磁気学の教科書が本棚のうしろに落ちてゐにけり
(小池光)

洗ひたてのシーツの端を死に場所に決めてゐたらし塩辛とんぼ
(山下冨士穂)

にぬきの黄身に口汚しつつ永遠にタチバナナツオはわたくしひとり
(橘夏生)(にぬきの上に、点あり)

愛想の好すぎるバスの運転手ありていささか不安になりぬ
(宮田長洋)

四万十のみどりの水は捩れつつ海に向かへる九月の海に
(大谷雅彦)

風にのり昏き廊下をひとすじの金木犀の香ははしりたり
(木曽陽子)

テレビにてラジオ体操するときの「ラジオ」はどこか可笑しみ醸す
(林悠子)

才知なき頭であるが惚けぬようへなぶり歌を詠まねばならぬ
(石川良一)

祖父(おおちち)の好みし花を知らぬまま生き来て供ふるりんだうの青
(洞口千恵)

広島よりもどりて日日に読み返す『ドームの骨の隙間の空に』
(平林文枝)

**********************************

短歌人12月号、同人1欄より。

何事もなかつたやうに岩倉の町は鎮もる日日是好日
(近藤かすみ)




最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (teruo)
2013-12-24 23:43:31
愛想の好すぎるバスの運転手ありていささか不安になりぬ(宮田長洋)

同感。
自分の職務をまっとうすればそれでさわやか。それ以上だと気味がわるい。

あなたの作品があると起承転結、納得という気になります。
返信する
Unknown (かすみ)
2013-12-25 00:53:23
teruoさま

いつも読んでいただいてありがとうございます。
さっさと書かないと、もう次の号が送ってきます。
返信する