気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

モジリアーニ

2006-02-16 21:20:25 | つれづれ
モジリアーニの女(ひと)ばかり座れる電車なりわが目の奥に血のにじめれば

雪降らぬ街のホテルの春の蟹、クリームスープ、白(ホワイト)ワイン

絵の中に独楽の紐打つ少年は少年のまま老いることなし

君の<われ>に私の<われ>を重ねつつ待つていたんだ 百年の船

(佐佐木幸綱 百年の船)

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モジリアーニの歌については、あとがきで作者が実際に眼底出血したときの見たままの映像と書いている。病気も含めての不安な気持ちが感じられた。
二首目は、サンフランシスコへの旅行の歌。リッチ感が漂う。
三首目は、ブリューゲルの絵に・・という詞書きがついている。絵の中では、年老いることなく生きつづける少年。絵という枠を通して、絵の描かれたときまで連れて行かれる感覚がある。全体として、どれも余裕綽々の歌。

百年の船の時計の針の根のはつか違へどおほよそ等し
(近藤かすみ)



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