気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2009-12-14 00:21:33 | 朝日歌壇
電車つく時刻となれば立読みの生徒ら一斉に駆けだしてゆく
(長野県 沓掛喜久男)

路上にもポインセチアの鉢ならぶ日暮れてあかき駅前花屋
(所沢市 栗山雅臣)

水揚げの魚抓(つか)み手にふりかざしプレゴ(かつた)、プレェゴ(かつた)と島の朝市
(ドイツ 西田リーバウ望東子)

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一首目。電車の待ち時間に書店で立読みしている生徒を迷惑がりながらも暖かく見ている書店員の歌か。携帯電話が普及してから、本の必要なところを携帯で写して盗る輩もいると聞く。思えば、新刊書店で本を買うことが本当に少なくなってしまった。ほとんどはネットか、新古書店か、定期購読で買う。図書館で借りることも多く、リクエストして買っていただくこともしばしば。それでなくても利の薄い地べた書店は、さぞ苦しいだろう。新刊書店は、文化を支えているという書店員の頑張りのみで成り立っているとも言える。
二首目。クリスマスが近づくとポインセチアの鉢植えが花屋の店頭を飾る。日が暮れてもそこだけあかい。季節感に溢れた歌。
三首目。作者はドイツにお住まいなので、プレゴはドイツ語なのだろう。プレゴも動詞とすると、動詞が四つもあるが、それが歌の勢いを出していると思った。
今回は図らずも店屋の歌ばかり選んでしまった。
新聞歌壇には家族詠が多いが、なぜか意味がピンと来ない。私の意識が世間からずれているのだろう。


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