菖蒲田のゆかりの色の濃きうすき 江戸小咄の風が吹きすぐ
ありなしの風にのりつつ蜘蛛の子の織りなすあはき幾何学模様
火箸とふなつかしきもの店先にひさぎてをりぬ島の鍛冶屋は
瑠璃色の玉ころばせて夏の夜を星より生れしマリンバ奏者
こともなく立夏を過ぎて母に送る太陽のしづく能古のみかんを
水色のふるさとの空ひろがれりラムネの蓋をポンとあくれば
人込みをわれに気づかずすれ違ふ夫とは不思議な縁なるかな
バス停の落葉踏みつつ爪先に秋の深さをはかりてゐたり
古伊万里の碗にふつくらほとびゆく睦月吉日(よきひ)のさくら湯のはな
しらうをは春の器に跳ねかへり生きの限りをあはれ玉の緒
(取違克子 ゆかりのいろの 六花書林)
*******************************
取違克子さんの第一歌集を読む。
取違さんは、福岡にお住まいで、山埜井喜美枝さんのカルチャーで短歌の勉強をはじめ、「飈」を経て短歌人会に入られた方。
歌は季節感と家族への愛情に溢れ、穏やかで読む者の心を暖かくしてくれる。お会いした記憶はないが、お洒落で上品な作者を想像する。
六首目。ラムネの蓋のポン・・・が明るくて爽やか。
九首目。娘さんの婚礼に関する歌だろうか。読んでいて豊かな気持ちにさせられた。
ありなしの風にのりつつ蜘蛛の子の織りなすあはき幾何学模様
火箸とふなつかしきもの店先にひさぎてをりぬ島の鍛冶屋は
瑠璃色の玉ころばせて夏の夜を星より生れしマリンバ奏者
こともなく立夏を過ぎて母に送る太陽のしづく能古のみかんを
水色のふるさとの空ひろがれりラムネの蓋をポンとあくれば
人込みをわれに気づかずすれ違ふ夫とは不思議な縁なるかな
バス停の落葉踏みつつ爪先に秋の深さをはかりてゐたり
古伊万里の碗にふつくらほとびゆく睦月吉日(よきひ)のさくら湯のはな
しらうをは春の器に跳ねかへり生きの限りをあはれ玉の緒
(取違克子 ゆかりのいろの 六花書林)
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取違克子さんの第一歌集を読む。
取違さんは、福岡にお住まいで、山埜井喜美枝さんのカルチャーで短歌の勉強をはじめ、「飈」を経て短歌人会に入られた方。
歌は季節感と家族への愛情に溢れ、穏やかで読む者の心を暖かくしてくれる。お会いした記憶はないが、お洒落で上品な作者を想像する。
六首目。ラムネの蓋のポン・・・が明るくて爽やか。
九首目。娘さんの婚礼に関する歌だろうか。読んでいて豊かな気持ちにさせられた。