気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2007-02-19 21:30:09 | 朝日歌壇
縄文のひとのごとくに木に祈り空師(そらし)は太き木を伐りそむる
(松戸市 猪野富子)

待つものはならぬでんわとこぬひととみゆきのしたのはるのくさのめ
(夕張市 美原凍子)

くるくると回転させて楽器より唾を抜きたりホルン奏者は
(八尾市 水野一也)

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一首目。空師という言葉をはじめて知った。巨木を伐りたおす人のことらしい。縄文のひとはどんな暮らしをしていたのか、想像するだけだが自然に対する畏れは今とは比較できないほど強かっただろう。新しい言葉を知ることが出来た喜び、遠くへ思いを馳せる楽しみのある歌。
二首目。朝日歌壇の常連の美原凍子さんは、夕張市への思いを粘り強く詠っている方。「待」だけを漢字にして、あとはひらがなにすることで、「待」を強調している。
三首目。楽器は音色や形に注目するが、その手入れについてはあまり歌にしているのを知らない。このホルン奏者は、もう当たり前のこととして、楽器を回転させて唾を抜いている。軽やかな感じが伝わる。くるくる、ホルンの音の響き合いも良い。

新聞歌壇に載る歌は、比較的わかりやすく、そのまま作者の思いが伝わってくる。一方、結社誌や歌集で読む歌には、なかなか手強い歌が多い。上句と下句の連絡の良すぎるのは、深みが足りないと言われる。こうして、考えれば考えるほど、歌がアタマの中でぐるぐるまわる。どこかでエイっと出してしまうしかないのである。



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4 コメント

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Unknown (黄菜子)
2007-02-20 00:39:14
かすみさん、こんばんは。
夕張の美原凍子さんについて、かすみさんが書かれているのを見て気付きました。
今週は、佐々木幸綱選、高野公彦選、永田和宏選と、それぞれに違う三首が選ばれていましたね。


>どこかでエイっと出してしまうしかないのである。

ほんとその通りですねー。
私などは、ぐるぐるしているうちに何がなんだかわからなくなってしまって、結局出さずじまいになるばかりです。


かすみさんのお歌の、珈琲の深みのようなほろ苦な感じが好きです。
今日のお歌もいいですね。
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Unknown (かすみ)
2007-02-20 10:48:46
黄菜子さん こんにちは。
美原凍子さんは、心の花の方だと思います。お名前はペンネームなのでしょうか。いい意味で気になる存在です。ほかにもあちこちでお名前見かけるという方が、分かって来ました。こうして、いろいろやってみることが腕をあげるコツなんでしょう。
またとうげ歌会の詠草締め切りが近づいて来ました。
二首ほど考えたのだけど、どちらを出そうかな。
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Unknown (黄菜子)
2007-02-20 17:21:27
かすみさん、こんにちは。
そうそうお名前だけで、、、勝手に自分だけで知り合いの気分になってしまってます、私(^^;)
とうげ歌会、参加表明だけしてまいりました。これから頑張って詠みます。
また批評をお願いします。
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Unknown (かすみ)
2007-02-20 22:14:58
黄菜子さん こんばんは。
またまた悩んでいます。
卵という題は、いろいろ料理できる題で・・・困ったもんだ。
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