気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

百年の眠り 鶴田伊津

2007-08-26 21:36:41 | つれづれ
「お父さん」ふいに甘えてみたくなりぷしゅりと開ける缶ビールかも

咲き初めの芙蓉のように笑いたく白い浴衣を選んでおりぬ

朝起きてすぐに告げたきことばあり夏草の生む水の清さで

愛し合う姿は時に滑稽でトンボ連なり飛びゆく真昼

「しあわせにならなあかん」という母の言葉の向こう透ける青空

(鶴田伊津 百年の眠り 六花書林)

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短歌人の鶴田伊津さんの第一歌集を読み始める。三章に分かれていて、まずは最初のⅠ(1997年~2000年)から。
鶴田さんは熊野の出身で、ご両親に愛されて育って来られたのがよくわかる。相聞もあり、若々しく爽やかな歌。
なぜか俵万智を思い出す。才智という点で、共通するものを感じる。のびのびと誰にも愛される可愛らしさが感じられる。

歌集の栞を、佐伯裕子、大松達知、小池光の三氏が書いておられる。小池さんの文章の終わりの方に「短歌なんてこれきりしかない小さな器だが、手を染めたことで人生が決まる場合がある。誰よりも鶴田さんにとってそうだったろう」とある。この言葉を、思わず自分にひきつけて読んでしまった。



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