気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人3月号 同人のうた

2013-03-16 00:29:20 | 短歌人同人のうた
空の高処に輪をかく鳶と地の上を歩めるわれとあひ惹かれつつ
(酒井佑子)

どなたかの記憶の隅にひとこまに居ずまひただしく残れよわたし
(阿部久美)

頬づえをついていいのだしずかなる雪に閉じ込められるとう快
(鶴田伊津)

歳月はまぶしきものか前をゆく赤尾豆単色のジャージー
(大橋弘志)

冬の窓にひかりの刻が過ぎゆけりカミーユ・ピサロ緑の画集
(木曽陽子)

すべての電波が途絶える夜にまぼろしの業平駅のホームが灯る
(橘夏生)

朽ち木焚く炎に時雨降りかかり捨てて来たりしもののかずかず
(青輝翼)

もう二度と会はぬ気がして見送りぬ回転扉にひと去り行ける
(斎藤典子)

雪かづく椿の葉より滴りてしたたりやまぬ朝のひかりは
(渡英子)

桂さんの頭(ず)に触れてみるさようなら冬の空のように冷たし
(長谷川富市)

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短歌人3月号、同人1欄より。

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