気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-11-25 23:35:53 | 朝日歌壇
黒雲の巨大なグローブがせり出してすとんと夜が来る冬時間
(イギリス ボイド知子)

「本当に知りたいことは教われぬ」ことを知らないセーラーの紺
(さいたま市 佐々木遥)

仕事上の電話をかけただけなのに<メリーさんの羊>飽きるほど聴く
(大牟田市 桑野智章)

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一首目。作者はイギリス在住。日本で言うところの、「秋の日は釣瓶落とし」と同じことだろう。「すとんと夜が」がうまい表現だ。グローブも英語圏ならではの言い回しと思って読んだ。
二首目。セーラーの紺で女学生のこととわかる。いま、セーラー服が制服の女学生はどのくらいの割合なのだろう。女学生でなく、女子高生なのか?
本当に知りたいことは、自分で調べたり経験して学んでいくしかないことは、大人になってわかることだ。しかし、半強制的であっても若いころに学んだことが、大人になってからの勉強の基礎になっていることに間違いはない。
三首目。電話が目的の人につながるまで、延々と音楽が流れることがよくある。実感としてよくわかる歌。眠れないときに羊の数をかぞえるという話があるが、作者も待ちくたびれて眠くなっただろう。