気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-11-04 22:27:29 | 朝日歌壇
会いたきはみな亀らしき人は来て人待たず去る猿沢の池
(大和郡山市 四方護)

秋草の花言葉なぜか切なくて紫苑(しおん)は「遠くの人を想う」花
(さいたま市 飯塚瑠美)

木犀(もくせい)の花ひとつまみポケットに入れて紛れる朝の雑踏
(東京都 東金吉一)

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一首目。二句切れの歌。猿沢の池に人が来ても、だれかと待ち合わせているのではなく、ただ亀に会っていくだけ。人間関係のわずらわしさから逃れて、亀と対話したい人がいる。人、去る猿沢・・・のリフレインが面白い。
二首目。二人の選者がえらんでいるので☆がついた歌。「遠くの人を想う」は紫苑の花言葉なのだろう。私なら、「」は使わない。カッコを使うとわかりやすくなるが、目立つのに抵抗を感じる。
三首目。下句がいい。朝の雑踏に紛れても、ここは譲れないという自恃のようなものを感じるからだ。その具体として、ポケットに入れた木犀の花があると思った。