気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人11月号 同人のうた その2

2013-11-14 20:47:40 | 短歌人同人のうた
よきことはなく次々に予期せぬことそのおほかたは禍(まが)ごとの世や
(蒔田さくら子)

不調なるパソコン相手に体内に剣山あるごとひと日を過ごす
(斎藤典子)

テレビ一台自転車二台捨ててある角の空き地の草むらの中
(西勝洋一)

台風の過ぎて混みあふスーパーに水滴つけたクルマが並ぶ
(渡英子)

刈られゆく草の香りのなつかしくいまはもうなき鉄路のおもひ
(三井ゆき)

仄ぬくきひる蚕室のうす闇にカイコしろじろみじろぐを見つ
(佐々木通代)

息を吸つて止めてくださいわたくしの頸の軟骨に字あまりがある
(原野久仁子)

わが記憶アーカイブされ終(つひ)の日に晒さるるとも今日を生くべし
(吉浦玲子)

草叢に死せる少女にもはや触れずニュースは五輪に上書きされて
(林悠子)

遊びとは言いかえるならゆとりにてレールレールの継ぎ目の隙間
(村田馨)

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短歌人11月号、同人1欄より。