気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-11-18 23:20:24 | 朝日歌壇
埋めたるどんぐり小楢の木となりて団栗拾う子らを遊ばす
(福山市 武 暁)

きみ以外の人に恋する段取りを進めています木枯らし一号
(瀬戸内市 安良田梨湖)

おとなりがイングランドのスマートな猫を買ったと聞く猫とわれ
(川越市 小野長辰)

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一首目。たわむれに埋めたどんぐりが育って小楢の木となり、また団栗を落とすという循環するものがたり。シェル・シルヴァスタインの絵本『おおきな木』を思い出す。
『おおきな木』は、林檎の木がちびっこにすべてを与える話だった。解釈がいろいろできて、そこに面白みがある。いくつになっても団栗を見ると拾いたくなってしまう。
二首目。ちょっと怪しい歌。要領がいいのか、切ないのか、読者は自分の思いに合わせて読むだろう。結句の「木枯らし一号」がよくわからないが、わからないところに良さがあると思う。報告のような謎のない歌より私はこちらを支持したい。
三首目。おとなりに住む飼い主と猫、作者とその猫が、それぞれ友達でありライバルであり、相手の様子をうかがっているようでユーモアを感じさせる。どう転んでも「うちはうち」と思うしかないのではあるが・・・。