気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人11月号 同人のうた その3

2013-11-24 18:02:12 | 短歌人同人のうた
才能も処世の術もうとくして乗換駅の地下に戸惑ふ
(小川潤治)

一人(いちにん)を盆に送りて桐下駄の柾目正しく玄関にあり
(松圭子)

廃業の鉱泉旅館の看板を覆へる葛にあかきはなさく
(庭野摩里)

どれだけの人を向こう岸に運んだか赤川鉄橋帰りたくない
(川島眸)

そそぐ水たちまち乾く盂蘭盆の墓石は怒りゐるかに熱し
(染宮千鶴子)

パントマイムの十指そよがせこの夏のむごき暑さにさよならをする
(木曽陽子)

綱渡りのような人生そろそろとそろそろときてここまでは無事
(𠮷岡生夫)

柿の葉に降りつぐ雨はほそほそと時間(とき)は素早く立ち去りてゆく
(大和類子)

きよらかな青みを帯びて雲うかぶ台風十八号去りたる空に
(小池光)

すずしさのよみがへりきて朝顔の季節の果ててゆくを知りたり
(宇田川寛之)

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短歌人11月号、同人1欄より。

11月号の締切は、9月12日。まだ暑かった。それなのに、あっと言う間に秋はゆく。
ファンヒーターを入れている。日暮れが早い。

写真は、さねかずらの赤い実。季節の花300のサイトからお借りしています。