気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2008-11-25 18:31:23 | 朝日歌壇
教員かホストになるかで迷う学生(ひと)サービス業どうし矛盾はないと
(東京都 稲葉みよ子)

舞茸のひとひらほどの左手にどんぐりみっつ握られており
(高槻市 有田里絵)

ときをりに立つ砂ぼこり駱駝曳く少年が乗れと眼でせがみをり
(鹿嶋市 加津牟根夫)

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一首目。教員とホスト、異質の職業かと思っていたら、両方ともサービス業という分類になるらしい。目からウロコの落ちる思いで読んだ。学生に「ひと」とルビをふるのは無理な気もするが、そういう無理なルビの作風で押していく人もいるので、これも歌人の個性だろうか。いっそ「やつ」とルビをふっても面白いかもしれない。
二首目。子供の小さく薄い手のひらの喩えとして舞茸は新鮮。舞茸自体が新しい種類のきのこだ。「ひ」が三回出てくるところ、みっつの具体も良いと思う。
三首目。海外旅行のときの歌だろうか。砂地を駱駝で歩くのは、ロマンティックなイメージがあるが、少年にとっては切実な仕事なのだ。
連休に旅に出ていたので、朝日歌壇の寸評がおそくなってしまいました。